富士山に登るのには、いわゆる重たい革で出来た「重登山靴」は必要ありません。できれば体力面・安全面から考えて、トレッキングシューズ(軽登山靴)をおすすめします。
富士山の登山道はどんな道?
富士山では主に砂礫と岩場を登ります。砂礫を歩くのがどんな感じかというと、舗装されていない砂利道を歩くとザクザクと鳴り足が少し砂利に持っていかれるかと思いますが、砂利が大きくなる(というよりも石ころになる)ほど、足下が安定しません。そして、富士山ではその砂利道が登り坂になっています。また、砂利の層が深く所によっては砂利の大きさが大小入り交じっているので、普通に坂道を登るように足を踏み込むと、そのままズリズリっと足が砂利に潜り込み、滑って上手に進めません。そこで登りではハンコを押すように足裏全体を地面に接地させながら登ります。

富士宮口 新七合目付近の登山道 ゴロ石が多く足裏全体で接地しないと滑りやすい

富士宮口 山頂付近の登山道 砂礫の中に岩が露出している
運動靴(スニーカー)では登れないのか?
一般的な運動靴でも登れます。私の富士登山仲間では、運動靴で登っている人が何人かいます。ただし彼等は健脚です。そして下山後には靴はボロボロになっています。私の相方は過去2回ほど靴を壊しました。靴底が剥がれたり、破れたり。下山後、五合目で見た彼の靴はテーピングテープで補強されていましたが、よくもまぁそれで下りてきたね、てな具合です。
なぜ運動靴で登るのか尋ねたら、かえってきた答えは簡単でした。
「履き慣れてるから」
なるほど。結局のところ履き慣れた靴が一番かもしれません。
トレッキングシューズに比べ機能面では劣りますが、脚が強いのであれば運動靴だって登れます。ただし、靴が保つかはわかりません。
トレッキングシューズの良いところ
一方私は、トレッキングシューズを愛用しています。私がトレッキングシューズを履くのは、体力に自信がないのは勿論のこと、足首が弱いからです。まず、バランス感覚が乏しい、というよりも運動神経が鈍いので出来るだけ滑らずに足下が安定するよう、靴底がブロック状になっているトレッキングシューズを好みます。また、運動靴に比べ靴底が厚めでしっかりしているので、岩場や地面のデコボコからの衝撃を少なくし、足裏を支えて疲労を軽減します。そして、ハイカット(履いているのはミッドカット)のトレッキングシューズを履くことで足首を保護し、足を捻りにくくします。この、足を捻りにくくするのが最も重要なポイントです。特に疲れて足の制御がおぼつかなくなる下山時、ちょっとバランスを崩してグネッ、となるのをある程度サポートしてくれます。(過信はいけませんが)
また、私の直接的な理由ではありませんが、ハイカット(ミッドカット)のトレッキングシューズであれば、砂利が靴に入るのを防げます。富士登山の場合、この砂利が厄介です。疲れているといちいち靴を脱ぐのも面倒だけど、かといって砂利が入ったままでは歩きにくい。歩くペースを乱されるのでイラっときます。それを防ぐために登山用スパッツを装着しますが、ハイカットのシューズなら特に必要はありません。(ただし、防水や泥除けという意味で使用するなら必要です)ちなみにミッドカットのトレッキングシューズを履いていて砂利が入ったのは、これまでに下山時の砂走りで数度です。これまた余談ですが、登山仲間の運動靴組は、下山後に靴をひっくり返すと、ザザーッと砂がこぼれ出ます。
トレッキングシューズの選び方
もし富士登山のためにわざわざ購入するのであれば、大雑把に言うと、初心者ならあまり重たくなく、ミッドカット〜ハイカットであれば、サイズさえきちんと選べば良いのではないでしょうか。サイズ選びのポイントは、足の指でしっかり地面を掴めるくらいの余裕が必要です。特に下山時は全体重が足にかかるので、しっかり地面を踏みしめられるように。かといって靴の中で足が動いてしまうようでは大きすぎます。また、当日はどんな靴下を履くかも考慮します。登山用に厚手の靴下を履くのであれば、試し履きの時に靴下を貸してくれるお店もありますが、そうでない場合は当日に履きそうな靴下を持参してフィッティングすることをおすすめします。
ちなみに靴紐は、登りでは足首を少しゆるめにしておき、下りでは足首までしっかりと締めます。余裕があれば、試し履きする時に自分で調整してみて、店員さんにチェックしてもらうと良いかもしれません。
トレッキングシューズは安くても5,000円〜10,000円からします。ブランドや素材にこだわれば数万円。登山用品店に行くと店員さんが色々と薦めてくれますが、それはもっともその通り。だけど、それっきりで終わってしまうかもしれないトレッキングシューズに1万円以上出すのは、個人的には勿体ないような気がします。私なら靴よりもレインウェアにお金をかけます。もしその後、トレッキングに目覚めて履く機会が増えたら、その靴を履き潰してからもっと良い物に買い替えればいいんだもの。
ちなみに私の友人は初めて富士登山に参加した時、インナーとフリース、ザック以外は全部知人から借りてやって来ました。そして彼は富士山にはまり、翌年は自分で装備を揃えてやってきました。たまたまサイズが合ったから為せた業なのでしょうが、賢いなぁ。