富士山を実際に歩く時のポイントをざっくりまとめてみました。最低限これだけ読んでおけばなんとかなるのではないかと思われる、富士山の登り方です。
高山病予防のために
- 高地順応 – 歩き始める前にひとまず休憩
5合目までは乗り物で一気に標高を稼ぎます。5合目に到着したら、歩きはじめる前に1時間ほどゆっくりして高所に順応させることが大事です。 - 歩くペースはゆっくりと
特に歩き始めの1時間は、意識してペースを落とすことが必要です。歩き始めは体力があることと、気が急いてしまっているのでついつい速くなってしまいますが、「こんなに遅いの?」というくらいゆっくりと歩いてください。 - こまめな水分補給
高山病予防のためにはこまめな水分補給が必要です。喉が渇いたと感じる前に、少しずつ飲むと良いでしょう。水を持参するのであれば「エビアン」や「いろはす」のペットボトルは飲み終わった後にコンパクトになるのでおすすめです。天候にもよりますが、水は1人1〜1.5リットルは必要です。山小屋が営業していなかったり在庫がない場合もあるので、最低でも1リットルは下界から持参する必要があります。 - 携行食を食べながら歩く
登山時は「食事」とは別に、携行食を意識して摂取するとバテを防止して疲労しにくくなります。おすすめは吸収の良い単糖類(ブドウ糖・黒糖)で、即効性があります。汗と一緒に失われるミネラルを補給出来るドライフルーツもおすすめです。
富士山の歩き方
- 登山時 – 歩幅を小さく足裏全体でゆっくりと接地しながら登る
- 1歩1歩を地面の傾斜にあわせて足裏全体を同時に接地します。ゆっくりと静かに靴の底で地面にスタンプを押すように歩くのがポイントです。富士山の砂礫の道では滑りやすいため、このように歩くことで靴底の摩擦力を最大限に利用して滑りにくくすると同時に、足への負担も軽減できます。
- 後ろ足は蹴り上げるのではなく、後ろになった足を軸に振り子のようにゆっくりと前足を接地させます。前足を接地したら、押したスタンプがずれないように、後ろ足も地面からそっと持ち上げます。
- 太ももはあまり高く持ち上げず、片足だけに体重が乗らないように重心を移動させます。イメージとしてはスケートリンクを滑るような足の運びです。
- 歩幅はできるだけ小さくします。標高が上がるにつれ自然と歩幅は小さくなりますが、登り始めは特に意識が必要です。登山開始1時間くらいは、歩幅を自分の1〜2足分にしてゆっくりと小さく刻むようにしてください。
- カーブは傾斜の緩い外側を回るようにします。また、段差を越える時はできるだけ足を持ち上げなくても済むような足場を探しながら歩きます。こうすることで、足の疲労を最小限に抑えられます。
- 傾斜が急な登りは立っているだけでも疲れます。体の力を抜いて前傾になり、手をぶらりとさせてバランスをとりながらガニ股で歩くと安定します。
- 下山時 – 腰を落とし小さな歩幅で膝のクッションをきかせ着地の衝撃を軽減
- 体の力を抜き、膝を軽く曲げて少し腰を落としておヘソのあたりを軽く前に突き出すようにします。イメージとしては、持ち上げた大きな箱を腰にのっけて歩くような感じ、または、志村けん演じるヨッパライのおじさんの歩き方のイメージです。
- 小さな歩幅で片足を前に出し、ゆっくりと足裏全体で着地します。前足が着地するまで、体の重心は必ず後ろ足の上にあるようにします。着地したら重心を前足に移動させます。こうすることで万が一転倒した場合、重心が後ろにあるので尻餅をつくことができ、前へ転げ落ちていく事故を防げます。
- 登山での事故で最も多いのは下りの転落事故です。急な下りだと、ついつい腰がひけて前のめりになってしまいがちですが、そうすると余計に転倒しやすくなります。疲労はピークです。転ぶことを恐れるよりも、いかに上手に尻餅をつくかが大切です。
- 休憩のとりかた
大休止と立ち休憩の組み合わせをおすすめします。
30〜40分に1度くらい大休止をとります。大休止は、腰を下ろして5〜10分ほど休みます。あまり休みすぎると体が冷えて疲労してしまうので15分以上はおすすめできません。大休止までは、少し疲れたら立ち止まって1〜3分ほど呼吸を整えたり、水分補給をする程度の「立ち休憩」をします。 - 呼吸は意識的に“吐く”
標高も上がり苦しくなってくると息を吸うことに必死になりがちですが、いくら吸っても吐かなければ新鮮な空気は入ってきません。息を吐ききれば放っておいても自然とたっぷり吸えます。
荷物とパッキングの仕方
- パッキング
パッキングの基本は、軽い物を下、重い物を背中側中間、使用頻度の高い物は上へ収納するのがコツです。また、富士山のトイレは有料です。100円玉の小銭を沢山用意しておくと良いでしょう。 - あると便利なもの
- ウェットティッシュ…富士山では水は貴重で、下界と同じように手や顔を洗ったりすることは出来ません。
- マスク又はバンダナ、手ぬぐい…須走り、砂走りでは、天候が良い日は砂埃がひどいです。
- 必須です…手袋・帽子・日焼け止め・ホッカイロ。念のためお忘れなく!
山小屋に泊まる場合
- 手ぬぐい
手ぬぐいを2〜3本持参することを強くおすすめします。山小屋の布団や枕に綺麗なカバーを期待することは難しいです。山小屋はあくまでも「緊急避難場所」としての要素が強く「旅館」ではありません。ですので、枕と布団の襟元に手ぬぐいを巻くだけで、とても幸せな気分になれます。 - ストレッチ
山小屋に着いたら、仮眠する前に必ず足をストレッチしておいた方が良いでしょう。さぼって寝てしまうと、目が覚めた時に、体が動かなくなっています。 - 耳栓・アイマスク
混雑時の山小屋では1枚の布団で2人が寝ます。耳栓を持参する人も多いようですが、慣れていないとかえって眠れないものです。事前に家で装着して寝てみましょう。
その他、ちょっとしたこと
- コンタクトの方は眼鏡を
砂埃がひどい時は、コンタクトでは悲惨です。 - 帽子・サングラスには紐を
帽子は風が強い時、飛ばされてしまいます。
サングラスは、置き忘れ防止に紐を付けておくと便利です。 - エースタオル
できれば、乾いたタオルを1本ジップロックに入れてリュックの中に入れて置きます。これは雨に濡れた時、最後の最後に体の水分を拭き取るための、名付けて「エースタオル」です。この乾いたタオルが1本あるだけで、とても救われます。
(私はタオルの他に、エースTシャツとエースパンツもジップロックに入れておきます) - 足の爪は切る
足の爪が伸びたまま登ると、下山で爪がはがれたり割れたりします。
また、靴下に穴があきます。 - ホッカイロは8合目でポケットに
ホッカイロは「少し寒くなって来たかな」と思った頃にリュックから出して早めにポケットにしのばせます。そうでないと、気が付くと寒さで手がかじかみ、鞄から荷物を出す元気すらなくなります。
最後に知っておいて欲しいこと
- ゴミは持ち帰る・登山道では登りが優先・自力で下山!
言うまでもなく、ゴミは必ず持ち帰りましょう。登山道では基本的に登りが優先です。但し、混雑時の頂上付近では必ずしもこの限りではないと個人的には考えます。そして、富士山では体調が悪くなったとしても基本的には自力で下山しなくてはいけません。山小屋付近にあるブルトーザーは荷物運搬用ですから、乗せろ!と我が侭を言わないように。登ったからには自分の責任で、自分の足で山を下りましょう。 - 苦しいもんは苦しいのだ
富士山は日本一の山です。日本で一番標高の高い所へ行くのですから、どれだけ万全を期していても、低所で暮らす者にとっては多かれ少なかれ体調の変化は現れます。無理は禁物ですが、かといってあまりナーバスになる必要はありません。
だって標高3776mに向かうのですよ、苦しいに決まっているでしょう?!(笑)